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不思議な招待

その頃の私は、30代半ば、妻と子ども1人の普通の家庭を持ち、中堅の会社で働く、ごく平凡な人間だった。そう、あの不思議な招待を受ける前は・・・。

その時、私は、金融街の外れにいた。先週も出張があり、その時に肩を寄せ合って励ましながら寒さに震えている母子のホームレスに出会ったのがこの場所だった。今はもう昔のことだが、私にも、父親を不慮の事故で亡くして苦労した時期があったのだ。帰りの飛行機のチケットだけを残し、持っていた現金をすべてあげたのだが、母子のその後が気になり、私はその場所に再び足を向けてしまっていた。しかし、予想していたことではあるが、そこに母子の姿はなかった。